今回は住宅ローンの手数料についてお伝えします。融資手数料と保証料の比較です。
金利が低いだけで選ぶとトータルで損をしてしまう可能性があります。
2つの違いをしっかり理解して、自分にあった住宅ローンを選びましょう。
融資手数料とは
これは住宅ローンの手数料です。定額型と定率型の2つがあります。
定額型
定額型とは、住宅ローンの借入額がいくらであっても同じというタイプです。
例えば、融資手数料55,000円という場合、借入が5,000万円でも1,000万円でも、融資手数料はどちらも同じ55,000円。
定率型
一方、定率型とは、住宅ローンの借入額によって融資手数料が異なるタイプです。
例えば、融資額の2.2%という場合、借入が5,000万円なら110万円、1,000万円なら22万円。
- 5,000万円×2.2%=110万円
- 1,000万円×2.2%=22万円
定額型と定率型、どっちを選ぶ?
この2タイプを比べた場合、定額型(一律55,000円の方)を選びたくなると思います。安いので。
でも、金利が違います。例えば、こんな感じ↓
- 定額型(一律55,000円)金利年1.47%
- 定率型(融資額の2.2%)金利年1.29%
定額型は当初の手数料は一律55,000円と安いが金利が高い、逆に、定率型は当初の手数料は融資額の2.2%と高いが金利が低いように設定されています。
「この銀行、金利低い!」と思うと、定率型だったというのはよくあること。
返済期間が短い場合や繰り上げ返済をどんどんしたい場合は定額型(一律55,000円)が有利、返済期間が長く繰り上げ返済をしない場合は定率型(融資額の2.2%)が一般的に有利です。
期間何年が分岐点になるかは、それぞれの手数料と金利の設定によって異なります。参考までに今回の例を使って計算してみましたので参考にしてください。
繰り上げ返済などしない場合、よく利用される期間35年なら定率型(融資額の2.2%)が有利。期間20年で同じくらい、それより短いと定額型(一律55,000円)が有利になっています↓
ちなみに、あとご説明する保証料と違って、融資手数料は使わなかった分が戻ってくることはありません。あくまで融資手数料ですから。
・・・
今は超低金利もあって銀行が手数料ビジネスに舵を切っているので、定額タイプ(一律55,000円)の取り扱いは少なくなってきています。
主に宣伝されるのは金利の低い定率タイプです。
以上が融資手数料の説明でした。次は保証料についてです。
保証料とは
今は保証料ゼロという銀行もありますが、かつては住宅ローンで必ずかかる費用でした。どんな費用かご説明します。
初期の住宅ローンは、万一返済できなくなった場合は、連帯保証人が代わりに返済するしくみでした(会社の融資は今もそうです。社長さんなどが連帯保証人になります)
しかし、一般の人が連帯保証人を探すのは大変ですよね。
賃貸マンションの保証人なら仕方ないと思っても(家賃が払えなくなったら、基本、退去すればいいので)、住宅ローンとなると金額が大きいので親族同士であっても頼みにくいものです。
また、連帯保証人の条件に合う収入のある親族がいないケースもあります。
そこでできたのが保証会社です。この保証会社が連帯保証人の役割りをします。その対価として住宅ローンを借りる人が払うのが保証料です。
・・・
でも、勘違いしやすいのはそのしくみです。
万一住宅ローンが返せなくなった場合、保証会社が銀行に住宅ローンを返して、その後、保証会社が借りた人に返済を求めてきます。
つまり、住宅ローンを借りている人からすると、借りた先が銀行から保証会社に変わるだけです。
その後も保証会社に返し続ける必要があります(一般的には家を売却して返します。それでも返しきれない場合はローンが残ります)
返せなくなったときに肩代わりしてくれるわけではありまえん。
これは銀行のための保証でしかないということです。
・・・
さらに、多くの場合、保証会社は銀行の関連会社(子会社)です。
銀行の人が保証会社に出向したり移籍したりしています(天下り先?)
消費者(住宅ローンを借りる人)からすると、保証料って何なの?という気持ちになります。
こういった経緯から保証会社を置かず、保証料ゼロの銀行がいくつか出てきています。
・・・
保証料の説明が長くなりましたが、今でも銀行の住宅ローンではこの保証料が必要になります。
その支払い方は大きく2タイプあります。それは「一括前払いタイプ」と「金利に含めて払うタイプ」です。
一括前払いタイプ
このタイプの保証料は借りる金額と期間で変わります。数十万円になります。
また、借りる人によって保証料が変わる銀行もあります。
審査に通りやすい人(安定年収が高いなど)は保証料が安くなります。
金利に含めて払うタイプ
このタイプは住宅ローンを借りるときに払うのでなく、毎月の返済額に含めて払います。
これも借りる人によって変わる銀行もあります。金利に0.1~0.5%上乗せして返していきます。
保証料は使わなかった分は戻ってくる(融資手数料との違い)
前半でお話した融資手数料は繰り上げ返済や借り換えをしても戻ってくることはありませんでした。
一方、保証料は前払いしている場合、繰り上げ返済や借り換えで期間と残高が減った分、保証料が戻ってきます。
ここは融資手数料との大きな違いです。
融資手数料と保証料をトータルで比べる
以上、融資手数料と保証料について見てきました。まとめると(融資手数料の金額や%はひとつの例)、
- 融資手数料:定額型(一律55,000円)と定率型(融資額の2.2%)
- 保証料:一括前払いタイプと金利に含めて払うタイプ
- 繰り上げ返済などした場合、融資手数料は戻ってこないが、保証料は使わなかった分は戻ってくる
最終的に住宅ローンを選ぶときは、この2つをトータルで見る必要があります。
書き出して比較をするといいでしょう↓
今回は融資手数料と保証料についてお伝えしました。
細かいなあと感じたかもしれませんが、金額が大きいだけに住宅ローンを選ぶときに迷うところです。
しくみを理解して、あなたにあった住宅ローンを選んでください。
今日のお話は以上です。最後まで読んでくださってありがとうございました。
牛込伸幸
▼質問募集中!このブログでできるだけお答えします
ご質問・感想はこちら(お名前・メルアド不要)
▼家計簿なしでシンプルに家計を管理する方法と考え方を順にお届けしていますメルマガ(無料)
※本記事は、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について当事務所が保証するものではございません。本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、補償はいたしません。