「老後資金は1億円!」
投資関連の書籍や金融機関の広告でよく見かける金額です。
今回はこの金額の妥当性と、老後資金は最低いくら準備したらいいのか?考えてみたいと思います。
1億円と言われても、準備できる人はほとんどいません。
また、2019年に老後資金2,000万円問題が騒がれましたが、この金額も誰もが準備できる額ではありません。
これを読んで平均データや考え方を知ることで、漠然とした不安が解消されて、最初の一歩を踏み出すことができるようになりますよ。
では始めます。
老後資金1億円の根拠
この1億円という金額の根拠となっているのは、公益財団法人生命保険文化センターのアンケート調査です(有名な調査です)
ゆとりある老後生活費:月に平均36.1万円
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和元年度
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html
あくまで「ゆとりある」老後生活費です。趣味を楽しんで、たまには旅行に行って…という感じでしょうか。これなら子ども2人の4人家族でも暮らせそうです。
この金額を使うと、65歳~90歳までで約1億円必要となります。
36.1万円×12か月×25年(65歳~90歳)=1億830万円
書籍や金融機関は、こういう金額を出して「定期預金では増えないので、投資信託やiDeCo(イデコ。個人型確定拠出年金)で…」という流れで話をしてきます。
でも、この金額、老後に受け取る年金が入っていません。
年金はいくら受け取れる?(会社員の場合)
夫が会社員(厚生年金+国民年金)、妻が専業主婦(国民年金)というご夫婦の場合、65歳から毎月、平均で22万円※ほどの年金を受け取れます(あくまで平均です。年収や加入期間で異なります)。これを65歳から90歳まで受け取ったとしたら、6,600万円にもなります。
22万円×12か月×25年=6,600万円
そうすると1億円必要とされていたところ、6,600万円の年金が受け取れるので、必要な老後資金は3,800万円になります。一気に減りましたね。
1億円-6,600万円=3,800万円
※毎月平均22万円とは?
厚労省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106808_1.html
- 会社員・公務員など(厚生年金+国民年金)の平均は男子で毎月17.1万円
- 主婦など国民年金のみの場合の平均は毎月5.6万円
- 夫婦あわせて毎月22.7万円(17.1+5.6)
会社員は必要最低限の生活費なら年金でカバーすることもできる
先ほどの公益財団法人生命保険文化センターのアンケートにはもうひとつ調査項目があります。それは、
老後の最低日常生活費:月の平均22.1万円
子どもが独立して住宅ローンが終わっていれば、行けるような気がします(個人差あり)
・・・
先ほどの夫が会社員、妻が主婦という場合に受け取れる年金が平均で月に22万円ですから、これで必要最低限の生活費は足りる計算になります。
こう考えると、会社員の方の場合、住宅ローンなどの借入が残っていなければ、
平均データや調査結果を見ると、必要最低限の生活費は年金で何とかカバーできるということになります。
年金でカバーできない部分は?
ここまでの計算でカバーできないのは主にこんなことです。
・賃貸住まいの家賃
・自宅の大規模なリフォーム
・介護や医療
ここは自分でコントロールできないところ。
特に介護は施設に入居するとなると費用がかかります。よくいわれる目安は500万円~800万円。あくまで目安ですが。
・趣味や旅行
ここは自分たちでコントロールできる費用です。余裕のある範囲で楽しめばいいかと。
自分たちの場合はどうか?
ここまでは平均データでお話してきました。
ただ、会社員の方の厚生年金は在職中の年収や加入期間によって受給額が異なります。
また、支出も家庭によって様々です。
退職時期が迫ってきたら、
・年金をいくらもらえるか?
年金定期便は50代になると、このまま年金を払うといくら年金を受け取れるか?書いてあります
・毎月いくらで暮らせるか?
これは把握しておきましょう。そうすることで、どんな暮らしがしたいのか?考えるキッカケになります。
年金に合わせた暮らしをするもよし、老後資金準備のラストスパートをするもよしです。
もちろん、若い世代の方も豊かな老後を目指して、貯金をしたり、仕事に励むのもいいですね。
つつましやかに暮らしましょうという主旨ではありません。なくても何とかなるということがいいたいだけです。
老後を遅らせる
今は定年退職して完全に働かないという人は珍しいくらいです。
60歳で定年退職して、65歳まで同じ会社で再雇用されて働くケースが多いです。年収は激減しますが、貯金を減らさないようには十分できると思います。
さらに70歳くらいまでアルバイトなどで働く方も増えています。シルバー人材センターなどサポートするしくみもあります。
・・・
今回は老後資金は最低いくら必要か?というお話でした。
PS.
自営業の場合は年金が少ないので準備が必要です。
ぼくも途中から自営業です。もちろん、会社員の経験があれば、厚生年金に入っていた期間分は厚生年金も受け取れますよ。
自営業のメリットは定年がないこと。ぼくもできるだけ長く楽しく働きたいと思っています。
それでは終わります。最後まで読んでくださってありがとうございました。牛込伸幸
▼質問募集中!このブログでできるだけお答えします
ご質問・感想はこちら(お名前・メルアド不要)
▼メルマガ(無料)はこちら。シンプルに家計を管理する方法とマインド(考え方)を最初から順番にお伝えしていますメルマガ(無料)
▼個別のご相談はこちらからFP事務所のご案内はこちら