貯金の目安は「手取り収入の10~20%」とよくいわれます。家族全体(世帯)の1か月の手取り収入が30万円なら毎月3~6万円ですね。
これは、貯金を始めるキッカケとしてはいいと思います。
でも、実際にやっていると「私の場合はこれで大丈夫なの?」と不安になるものです。
特に、結婚したり、子どもが生まれたり、マイホームがほしいと思ったときです。
必要な貯金の金額は、年代や家族構成、教育プラン、持ち家か賃貸か、働き方、老後の過ごし方、そして何より価値観によって異なります。
収入の1割や2割といった目安で足りる人もいれば、足りない人もいます。
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もし「私の場合は?」と思ったら、「自分にあった貯金計画」をつくるタイミングです。
「何に」「いつ」「いくら」お金が必要か?書き出して、それを実現するための貯金計画を逆算してつくります。
↓ライフプラン表を作って考えます
↓ライフプランをつくる手順はこの記事で
https://fpushi.com/archives/918
もちろん、教育プランなど細かく決まっていない目標も多いので、計画は大ざっぱなもので構いません。実践しながら計画が具体化するにつれて、貯金計画も修正していきます。
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貯金の目標は、毎月(毎年)の収入でカバーできない、時間をかけて準備する必要があるものとします。
例えば、クルマ、家の自己資金、子どもの大学や専門学校の費用、老後資金など。
金額でいうと100万円以上が目安でしょうか。ちょっとしたことに貯金計画をつくると、毎月のつみたて額がとんでもなく大きくなってしまいます(ここは好みもあるので自由にやってください)
貯金は優先順位を決めて
貯金計画をつくるとき、注意が必要なのは「優先順位」です。
クルマ、住宅、教育、老後のような金額の大きい目標は、すべてを同時並行で貯金しようとすると、毎月のつみたて額がとんでもなく大きくなってしまいます。
例として、先ほどのライフプラン表をもとに、よくある貯金計画をつくってみます↓
上記の記入例から抜き出すと(金額はあくまで例です)、
・10年ごとにクルマ:300万円→毎月25,000円
・10年ごとにクルマ(2台目):200万円→毎月約17,000円
・18年後に第1子が大学入学:500万円→毎月約23,000円
・20年後に第2子が大学入学:500万円→毎月約21,000円
・34年後に夫が定年退職(65歳)老後資金:2,000万円→毎月約49,000円
→合計で毎月13万5,000円
よくあるプランでも(3年後のマイホームの頭金は除いても)、毎月13万5,000円にもなってしまいます。
お子さんがまだ小さいご家庭で毎月10万円以上もつみたてできるご家庭は少ないと思います。
そこで貯金の交通整理をします。貯金は大きく2つに分けて対策します。
【その1】定期的に買い替えるものは同じペースで
クルマのように定期的に買い替えるものは同じペースでつみたてします。
新車を買って10年ごとに買い替えるのであれば、毎月1万円つみたてすると、10年ごとに120万円のクルマを買い替えることができます。
1万円×12か月×10年=120万円
毎月2万円なら240万円、毎月3万円なら360万円です。
【その2】1回だけの目標に対しては優先順位を決めて
マイホームや子どもの大学の教育費など、基本的に1回だけある支出に対しては、優先順位を決めて貯金します。
例えば、上で作ったライフプランのように若いうちに家を買う場合、今ある貯金を家の自己資金にあてて(頭金を少なくする手もありますが、住宅ローンが大きくなります)、
子どもが生まれたら(子どもが既にいる場合はできるだけ早く)、大学などの教育費のつみたてを始めて、
教育費にメドがついたら老後資金の準備に入る、といった方針を決めます(定番の方法)
これが貯金計画の優先順位を決めるということです。
また、貯金計画とは別の話になりますが、住宅ローンを組む場合は、これができる範囲に借入額を抑えることが大切です。
こういったことをイメージしやすいように、少し脱線しますが、人生全体のお金の流れを見てみましょう。
人生全体のお金の流れ
先ほどと同じ例(子どもがいて、若いうちに家を買う)で、人生全体の収入と支出をグラフにすると、下のグラフのようなイメージになります。人生には2度、赤字になる時期があります。
1回目は子どもが大学に進学する時期です。
家計は一時的に赤字に陥ります。この不足分をコツコツ貯めたお金でカバーします(できない場合は教育ローンや奨学金を利用することに)
2回目は老後です。年金と貯金を取り崩しながら暮らします。
貯金残高のグラフはこうなります↓
子どもが生まれたら、日々の生活を送りつつ、教育費の貯金をします。そして、子どもが独立したら、老後資金のラストスパートです。
少し脱線してしまいました。話を戻します。貯金に優先順位をつけても対応できないこともあります。そんなときに考え方をお話します。
貯金はペース配分が大事
いつ、いくら、どんな目的でお金が必要か?書き出して、そこから逆算して貯金計画をつくると、最初は「そんなに貯金できません!」となるものです。
そんなときは、子どもが小さいうちは児童手当を貯金して(総額200万円ほどになります。2023年6月現在。今後、拡充される予定)、
時期をみてママ(パパ)が仕事を再開して追い上げるいった「ペース配分」を考えます。
また、老後資金も時期が近くならないと具体的には考えられません。
退職金や年金の金額を確認して、何歳までどう働くか?どんなセカンドライフを過ごしたいか?考えます。
最近は、長く働く方が増えています。そうすれば、老後資金の貯金額は低く抑えられます。
できることから
貯金計画をつくるときに大切なのは、目標を決めて「できる範囲で」準備を始めることにあると思います。
そうすれば、必要な情報にアンテナがたって、適切な行動がとれるものです。
例えば、子どもが大学を卒業して独立したとき、財布のひもを緩めすぎることなく、「老後資金のラストスパートだ」と切り替えるといったことです。
よくないのは、「そんなの無理」と開き直って放置してしまうことです。
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今回は、貯金計画について考えてきました。
今いくら貯金があるか?確認したうえで、「いつまでにいくら」という貯金の目標を書き出すことから始めてみてください。
「収入の10%」といった貯金法とは次元の違うつみたてができますよ。
最後に注意する点を。
貯金で大切なことは、今の暮らしとのバランスです。10年以上先の教育費のために「今年の夏の家族旅行は中止」では悲しすぎますよね。
今の暮らしを楽しみながら、人生全体を見渡して、できる範囲でやっていきたいものです。
教育費の目標額を決めるには、この記事を参考にしてください。いくらかかるか?どう準備するか?まで具体的に解説しています↓
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