【税金・社会保険入門】受けられるサービス(医療・失業)&給料から引かれるもの(税・社会保険料)

おはようございます。群馬県高崎市のファイナンシャル・プランナー(FP)牛込伸幸です。

今日も自分のできることを、たんたんとやっていきたいと思います^^

「毎月のお給料は20万円って聞いていたのに、実際に銀行口座に振り込まれたのは16万円ほど。なんでだろう?」

今回は、この春から会社で働き始めた新社会人に向けたお話です。

あなたは学生時代にアルバイトをしたことがあるかもしれません。でも、会社に勤めて働くと、そのときとは違うことがいろいろと出てきます。

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今回はそのしくみや受けられる制度についてまとめました。

細かいことを説明し出すとキリがないし返ってわかりにくくなってしまうので、知っておくべき必要最低限のことにしぼってお伝えします。

これを知っていれば、その状況になったとき、制度の存在に気付いて調べたり質問したりすることができます。

もちろん新社会人以外の人にも役立ちます。こういうのって学校では教えてくれないので、知らずにいる人が多いものです。

では始めます。

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お給料は約2割引かれて銀行口座に振り込まれる

先ほどの「毎月のお給料は20万円って聞いていたのに、実際に銀行口座に振り込まれたのは16万円ほど」という件、これはお給料から税金や社会保険料(健康保険や年金など)が引かれるからです。

ちなみに20万円を「額面収入」、16万円を「手取り収入」とよく呼びます。

その人の状況によって異なりますが、手取り収入は、額面収入の8割ほどが目安になります。

20万円×0.8=16万円

では、税金、社会保険という順で説明していきますね。

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税金(所得税・住民税)

お給料から引かれる税金は2種類あります。

・所得税(国に納めるもの)

・住民税(都道府県・市区町村に納めるもの)

ただし、住民税は前年の収入に対してかかるので、払うのは翌年から。

余談ですが、これ、退職や転職をするときに覚えておきましょう。

退職して無職になっても、翌年、住民税の支払いが回ってきます(うっかり忘れていて、思わぬ出費に驚く・笑)

社会保険料

社会保険料には3つあります。

・健康保険料

・厚生年金保険料

・雇用保険料

(40歳から介護保険料が加わります)

雇用保険料は最初の月から引かれますが(金額は小さい)、健康保険料と厚生年金保険料は通常2か月目から引かれます(給与明細を見るとわかる)

2か月目の振り込み額が少ないので気づくかもしれません。健康保険料と厚生年金保険料は結構金額が大きいので(高齢化の影響ですね)

では、ひとつずつ説明していきます。

健康保険料

病気やケガで病院にかかったときのもの。これに入ることで保険証がもらえるわけです。

学生時代はお父さん、お母さんの健康保険に入っていたと思います(扶養に入るという)。これからは自分で保険料を払います。

保険料は自分と会社で半分ずつ負担します(労使折半といいます)

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ちなみに仕事中(業務中)のケガや病気は「労災保険」というのを使います(全額会社負担)

該当するのかな?と思ったときは会社の人に聞いてくださいね。

いきなり人事や総務に行くのは大変でしょうから、身近な先輩や近い上司に聞くのがいいでしょう。

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健康保険のメインは治療費の支払いが3割になることです(高齢者や小さい子はさらに低い)

病院で3,000円払ったとしても、実際は1万円かかっているということ。差額の7,000円は健康保険制度から払っています。

ただ、健康保険の制度はこれだけではありません。少し長くなりますが、いろいろ頼れるしくみがあるので概要をご説明します。

細かい話は覚えなくていいので、「こんなとき、こんなお金が受け取れるんだ」とイメージをつかんでください。

【高額療養費の制度】

1か月の医療費の自己負担が高額になったとき、超えた分が戻ってきます。

年齢や収入などによって異なりますが、一般的には1か月に約9万円を超えると戻ってきます。

ただ、これは健康保険が使える治療についてです。健康保険が使えない美容整形や歯列矯正、病院で個室に入院するときの差額ベッド代などには使えません。

また「1か月あたり」というのも注意が必要です。

例えば、4月に入院して30万円かかった場合は、限度額(約9万円)を超えた分が戻りますが、

4月と5月に入院がまたがって、4月に15万円、5月に15万円かかった場合は、それぞれの月で限度額を超えた分が戻ります。

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この制度があるので、民間の生命保険会社の医療保険はそんなにたくさん入らなくてもいい、ということになります。

自己負担が3割で済むのもすごいのに、さらに限度額まで設けられている。これ、世界有数の制度です。

【限度額適用認定】

高額療養費の制度で限度額を超えた分は戻ってくるといっても、一時的に立て替える必要があります。

それを回避してくれるのが限度額適用認定という制度です。

事前に申請しておけば、限度額だけ病院に払えば済みます。入院や手術など限度額を超えそうなときは手続きしておくといいですね。

これも会社の人事・総務の方に聞いてください(会社員の人は何でも取りあえず会社に聞けばOK)

【傷病手当金】

これは、病気やケガで会社を休んだときに、条件を満たすと最長1年半までお給料の約3分の2を受け取れるという制度です。

これは会社員が入る健康保険にしかない制度です。主に自営業の方が入る「国民健康保険」にはこのしくみはありません。

【出産育児一時金】

子どもが生まれたとき1児につき約40万円受け取れます。

出産は病気ではないので健康保険が使えません。一般的にはこの一時金で病院に払う費用はカバーできます。

(帝王切開などになった場合は、健康保険の適用となります。ここも細かいので省きます)

【出産手当金】

出産で会社を休んだとき、出産前6週間、出産後8週間、お給料の約3分の2が受け取れます。

※出産後8週以降は雇用保険からお金が受け取れます(後述)

これも傷病手当金と同じく健康保険だけの制度です。主に自営業の方が入る国民健康保険にはありません。

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以上、健康保険についてでした。

ちなみに、大企業などは独自の健康保険組合を持っていて、保険料が安かったり、サービスが手厚かったりすることもあります。

詳しく知りたい場合はこのサイトが参考になります。

協会けんぽさんのサイト
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/

厚生年金保険料

続いて年金です。老後に受け取れるものですね。

自営業や主婦の方などは国民年金のみに入ります。一方、会社員の方は国民年金と厚生年金の両方に加入します。

保険料はまとめてお給料から引かれます。

給与明細を見ると「厚生年金保険料」と書いてありますが、国民年金と厚生年金、両方の分です。

別途、国民年金の保険料を払う必要はありません。

この保険料も自分と会社で半分ずつ負担しています(労使折半

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年金というと老後を思い浮かべますが、一定の障害の状態になったとき(障害年金)、加入者に万一のとき遺族が受け取れる制度(遺族年金)もあります。

年金について詳しく知りたい方はこちら。日本年金機構さんのサイト↓
https://www.nenkin.go.jp/index.html

雇用保険料

雇用保険は会社員など雇われている人の制度です。自営業などの方にはありません。

保険料は会社と自分で2対1の割合で負担します(会社の方が多い)

【基本手当て(失業したとき)】

雇用保険のメインは失業したときに、条件を満たせば受け取れる基本手当でです。

ちなみに自分の都合で会社を辞めた場合は、3か月間は受け取れません。

【育児休業給付】

先ほど健康保険で「出産手当金」の話をしました。これは産後8週まで。

そのあとに出るのが雇用保険の「育児休業給付」です。

これは、健康保険の出産手当金が切れたあと、子どもが1歳まで(保育園に入れないなど要件を満たすと2歳まで)受け取れます。

金額はお給料の約67%(6か月経過後は50%に)

ややこしいですが、普通は会社がリードしてくれますから大丈夫です。

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このほか雇用保険には説明は省きますが、

・介護休業給付(家族を介護するために仕事を休んだとき)

・教育訓練給付(指定された教育訓練を受けるとその費用の一部が受け取れる)

・高年齢雇用継続給付金(高齢でお給料が一定以上減ったとき受け取れる)

などの制度があります。

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以上、収入と手取りの違いについてご説明しました。

お給料から引かれた分がどんなことに使われるのか?困った状況になったとき、どんなサービスが受けられるのか?イメージはつかめましたか?

最後に全体像をまとめておきますので参考にしてください。

【まとめ】お給料から引かれるもの(目安は2割)

●税金
・所得税(国に納める)
・住民税(都道府県や市区町村に納める)

●社会保険料
・健康保険料(労使折半)
・厚生年金保険料(労使折半)
・雇用保険(会社の方が多く払う)

【まとめ】受けられるサービス

●健康保険
・傷病手当金(病気やケガで会社を休んだとき)【会社員のみ】
・出産一時金(約40万円)
・出産手当金(出産・育児で会社を休んだとき。産前6週・産後8週)【会社員のみ】

●厚生年金【会社員は国民年金と厚生年金にダブル加入】
・老齢給付(老後)
・遺族年金(加入者に万一のとき遺族に)
・障害年金(一定の障害状態になったとき)

●雇用保険【会社員など雇われている人のみ】
・基本手当(失業したとき。自己都合退職は3か月間出ない)
・育児休業給付(出産手当金のあと1歳まで。保育園に入れないなど要件を満たすと2歳まで)

今日のお話は以上です。最後まで読んでくださってありがとうございました。

牛込伸幸

※本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、当事務所が保証するものではございません。お伝えした情報は作成日時点(2021年3月)の法律などを元に作成しています。

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牛込伸幸

「お金のことを気にしないで暮らしていけたらなあ」こう思って家計の勉強を始めました。もちろん、ちゃんと管理してですよ(笑)
銀行で7年、保険代理店で3年働いた後、2009年からFP事務所を始めました。どんなご相談でもお客さまの人生全体を見渡してトータルに考えるように心がけています。
趣味はジョギングとスーパー銭湯です。
【資格】日本FP協会CFP(R)・FP技能士1級

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